消し切れない忙しなさ

趣味の音楽とか城とか旅とか。

ドイツ旅行記 その③

4日目


今日でほぼ全ての行程を終える事になります。
目的地はノイシュヴァンシュタイン城。世界的に有名なお城です。

昨日から城ばっかり行ってるじゃないか、と思われそうですが好きなんだから仕方ないです。
城は史料の意味もあり、個人的な趣味にがっつり合うのです。

ホテルで朝食を摂ります。

内容は1日目のマインツと似た感じです。ここのホテルの食事は丁度いいです。
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今日はいつもより出発時間は遅め。余裕を持って駅に向かいます。

駅に着くとだんだんと東洋人の姿が。
ここまで全然見なかったのにかなりの割合でみえます。

急行列車で向かいます。急行と言っても設備は綺麗です。

車内は東洋人ばかりで騒がしいです。
有名な観光地に行く列車というのもあるでしょうが今までとの違いに軽く戸惑います。

車窓はだんだんと田舎に。
日本で田舎の風景というと田園風景になるかと思いますがこちらでは平原が続きます。
のどかでゆったりとした時間が流れます。途中では牛の放牧も見かけます。
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ドイツは日本に負けず劣らずの先進国ですがこのような風景を未だ持っていることに羨ましさを覚えます。
都市部もそれほど高層建築は建っておらず、歴史の中に身を委ねているような気分にこの旅では何度かなりました。
木造建築と石造りという根本的な違いはあるのでしょうが、日本ももっと伝統的なものを大事にしなければと思わされます。

そうした風景を見つつ、目的地の最寄り駅であるフュッセンに到着です。


移動時間2時間


次はバスで移動。10分ほど待って乗車。
この旅は実に交通機関の接続がいい。

ドイツは人も大きいですがバスも大きい。
日本のバスでは考えられない2両編成です。(写真撮り忘れた
そのおかげでかなりの人数が乗車できます。
アウクスブルクから来る客はそんなに多くないのですが、
ミュンヘンからも電車が連絡しているのでそれで人が多くなるんですね。
実際に途中でミュンヘンから来る電車と連絡した時にはかなりの人数が乗ってきました。


バスに揺られること15分。城の麓の町に着きます。
ここはよく観光地で見られるような雰囲気です。日本と雰囲気の違いは驚くほどありません。

バスを降り、チケット売り場へと直行です。
この城はチケットを購入後、決められた時間にツアーで城内を周ることになっているのです。

するとこんな列が。
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かなり時間がかかりそうな予感…仕方なく黙って並びます。

列の途中、この時間なら空いてるよ、という表示があるので確認するとドイツ語と英語は今から4時間半待ち…
私は日本語のオーディオガイド目当てですがそれでも3時間待ちだそうです。

列の流れは思ったより順調です。途中で気になる単語が目に入ります。
リザーブド」
予約できたのか。下調べをちゃんとしておくべきでした。

順番が来てチケットを購入します。
この際、近隣の他の城や博物館にも入れるコンビチケットを選ぶこともできますが今回はノイシュヴァンシュタインを堪能するために単品のチケットを購入です。


私「ノイシュヴァンシュタインだけのチケット一枚下さい」
受付「OK。あなた学生?」
私「ちゃいます、オフィスワーカーやで」


このやり取りはドイツに来て2度目になります。
私は日本では歳上に見られることが多いですが、そんな私でも西洋基準になるとかなり若く見られるようです。
日本人はこの点にも注意しながらアジア以外の外国を旅するべきだと思います。


チケット購入後、流石にヒマなので軽く昼食を。
ソーセージにカレーソースがかかったものを食べました。
日本のカレーよりも酸味があり、所謂インドカレーとも少し違う独特の味でした。

まだツアーの時間までたっぷりありますがこの時間を使って城の外観を探索することに。
城までは昨日と同じく距離があるのでシャトルバスを利用します。

行く途中で馬車を見かけました。どうやらこれに乗っても城まで行けるようです。
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写真には写っていませんが王様王女様の格好をした子供が乗り込んでいました。
違和感無く似合っており、西洋人の特権だなぁと思ってしまった。

コンビチケットを買えば行ける別の城もここから見えます。
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近くに行くと更に綺麗なんだろうな、と想像を膨らませます。


バスに乗り、城の手前まで行きます。
この近くに城が綺麗に見えるビュースポットがあるので寄ることに。

これがまた長い列で。
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まぁチケット売り場の混雑からなんとなく心の準備が出来ていたので驚きは少なかったです。

それにしても俗っぽい、麓の観光地ムードの時からもずっと思っていましたが。
有名な観光地だけに仕方がないのでしょうが、竹田城を訪れた時を思い出して少し不安になってきました。
竹田城の何が酷かったかは私に直接聞いて下さい。

取り敢えず並びます。
途中、列を飛ばす人もいましたが真面目に並びます。


30分ほど経過。


まだかな、と思っているとようやく橋が見えてきました。
むちゃくちゃ高いところに架かってるな。下が見えません。

そしてようやく橋の上へ。…見えました。
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その美しさに言葉を失いました。
何かを見て釘付けになったのは今までの人生で中尊寺金色堂とこれだけです。
まさに絵の中の景色が目の前に現れたかのようです。

正直、舐めていました。
この景色を見るまでは「ドイツで一番有名な観光地の部類だから一応見ておくか」という感覚に過ぎなかったのですが完全にいい意味で裏切られました。
どおりで数々の作品に取り上げられるわけです。
これは写真じゃなく、自分の目で確認するべき建造物だと思います。

中世の様式の城ですが、出来たのは日本でいう明治時代。比較的新しいんです。
なぜこの様な様式ので建てられたのかを簡単に説明すると、理由はこの城を建てたルートヴィヒ2世にあります。

その芸術オタクっぷりはハンパ無く、「王の仕事はやだ」と部屋に引き篭もってシェイクスピアなどの文学に耽り、
ワーグナーパトロンになって劇場を貸し切って一人で楽しんでしまうほどだったそうです。
そんな王が「大好きな中世の世界観を表現した城を造る!」という中二病丸出しな意気込みで、軍事の拠点としての城の在り方を全く無視して王の趣味のためだけに造られたのがこのノイシュヴァンシュタイン城だそうです。

そのような経緯とはいえ、
中二病」と「王という凄まじい権力」が結びつくとこれほどまでのモノができるのかと感心してしまいました。

この時点でずっと感じていた俗っぽさなどどうでも良くなりました。
その場で10分ほどはじっと見ていたはずです。
ずっとその場にいたかったですが早く近くで見てみたいという思いも強くなったので移動。

少し歩くと図ったかのように城が姿を現します。
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10分ほど歩くと城に着きます。白亜という言葉がピッタリとはまる美しい外壁です。
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城門は少し様相が異なりますが雰囲気があります。
城門をくぐるとほんの少しだけ、中庭付近まで城を歩くことができます。
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これが本当に少しだけで10分ほどで歩けてしまった。あるのはツアーのゲートとトイレ、ちょっとした売店という感じ。
ただそこかしこに凝った造りの扉や彫刻があり、じっくりと見ればそれなりに楽しめることができます。

まだ時間があったので更に周囲をうろちょろします。
売店とカフェがあり、城を少し下の角度から見れるビュースポットもあります。
あと、こんな景色も。
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ここまで並んでばっかりだったので流石に疲れて少し休憩。
しかしチケット購入後から2時間あった待ち時間がみるみるうちに無くなっていました。
意外と丁度良かったかもしれません。

そしてツアーの時間に。

ツアーはオーディオガイドを聴いて周ります。
これが巡る部屋ごとに電波を受信して説明が始まる仕組みになっていて、城の歴史、内装など説明は丁寧で分かりやすかったです。

中の様子は言葉では表現しにくいですが、ひとつひとつの部屋がまるで作品のように完成されているといった様子です。
基本的には黄金にあしらわれていて、天蓋付きのベッドやシャンデリアは煌びやか。壁画も壮大な造りになっていたりします。
中には当時の最先端技術である電飾を用いた洞窟(城に洞窟)もあり、実際に足を運ぶことをお勧めします。


ツアーは40分ほどで終了です。
お決まりのように売店コーナーに通され、迂闊にもグッズを購入してしまいます。

その後外に出ます。
どうしてももう一度橋からの眺めを見たくて再度並びます。

ここでもやはり列に並ばずに行く人がちらほら。
列の前がドイツ人家族。そのお父さんが真面目な人だったのでしょう、列を飛ばしていく人にブチギレ。家族になだめられていました。

やはり30分ほかかりました。
景色を堪能します。じっと15分くらい。名残惜しいですがずっとは見ていられません。
その後、いい時間になったのでシャトルバスに乗り麓まで。

麓をあまり探索していなかったのでうろちょろします。
懐かしい、日本語を見つけました。
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しばらく探索の後、帰路に着きます。駅までのバスの列に並び、しばらく待ちます。
そうしているとみるみる内に列が伸びていきます。これは一度に乗れないんじゃないかっていう位に。
しかしここはドイツです。
そう、2両編成のバスが来ます。しっかりと長蛇の列を納めてしまいました。

実は麓からも城が見えます。
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バス停から最後に一眺します。


その後バスに揺られて駅へ。
ドイツの道路事情を掻い摘んでおくと、信号は縦型。ランナバウトが多く交通は比較的スムーズです。
走っているクルマはもちろん、ワーゲン、BMW、ベンツが主流。
そして二両編成のバスが通れるくらい道が広い。

駅に着くと電車が来ており、乗客は皆バスを降りて猛ダッシュです。
私もその中に混じりますが残念ながら電車はミュンヘンへ行くものでした。
アウクスブルクへ直行する電車は1時間後。19時発です。

本当はアウクスブルクで昨日と同じレストランで食事を摂ろうかと考えていましたが夕食が遅くなりそうなのでプラン変更、ここフュッセンで夕食を摂ることにします。

時間が無いので駅からすぐのホテル併設のレストランに入ります。
高そうですが最後の夕食なので気にしません。豚肉のステーキを注文。

前菜で出てきたフランスパンが美味しい。ソースにハーブの香りが効いています。
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メインディッシュのステーキが来ます。
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ステーキのほかに見えるのはキャベツの和え物と、ボール状に見えるこれは挽肉を丸くしたようなものです。
流石ホテルのレストランといったところで美味しいです。
ナイフでスパッと切れるくらい柔らかく、脂っこ過ぎなくて丁度いいくらい。

ビールも勿論頼みます。お勧めを持ってきてもらいましたがこれが甘味。
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私は甘いのが嫌いなんですよ…ちょっと失敗しました。

1時間で食べなければならなかったので少しせわしなかったですが味が良かったので満足です。
値段も大概でしたが気にならないくらいです。


駅に戻り電車に乗ります。フュッセンとはこれでお別れです。
しかし一筋縄でいかないのが旅です。

乗った席が2人掛け対面席。すなわち4人が向かい合うような形式。
私の他3人は学生風のドイツ人。
感じが良さそうです。帰りの2時間、彼らと話して帰るのも悪くないなと思いました。

ですが彼らは気付いてしまいました。
ここが乗るために予約が必要な一等席だということを。

しかし車内は人でごった返しています。満員電車です。
私から見ると一等席もあったもんじゃありません。
しかもここはかなりの田舎です。滅多なことが無い限り人は乗ってきません。それは往路で確認済みです。
いくら間違えて座ってしまったからといって立ってしまえば立ち乗り確定です。

しかし彼らは真面目でした。
「仕方ない、移動しよう。君も行こう」

なぜか私も席を立つことを促されました。彼らのその、真っ直ぐな心に反抗できなく席を立ちます。
私たちが立った席には案の定、すぐさま東洋人の家族が。
そして私はこれからずっと、立ちっぱなしになってしまうのでした。

途中、城で貰ったパンフレットを落としてしまいましたが、
その時「sorry,it is mine」と咄嗟に英語の文章を組み立てられた時は快感でした。
ちなみに僕はリスニングとリーディングはそこそこだと思っていますが、会話は基本的に簡単な単語の組み合わせとジェスチャーで済ませます。
なんだかんだこれで通じます。

1時間半立ちっぱなしでしたが、ミュンヘンに連絡する駅に着くと殆どの人が降りていき、ようやく座ることができました。

丁度、夕暮れ時に西側の席を確保できたので素晴らしい夕焼けを見ることができました。
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日本では見られないような、草原に落ちる夕焼けです。
ドイツで夜を迎えるのは今日で最後、そして偶然にも素晴らしい景色を見られたことが幸せに思われます。


移動時間2時間


日の長いドイツとは言え夜の9時に、流石に暗いです。
ホテルに戻る前に、ビールを飲み直そうと駅の売店で買います。
同時にボルヴィックの1Lペットボトルも買います。
食べ物の物価が高いドイツですがこのようなまとめ買いの形を取ると単価が下がるのは日本と同じです。


部屋に戻り晩酌しながら帰りの準備をします。
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地理的に空港まではかなりの距離があるため明日は早起き。今日のうちに支度を済ませます。

そういえば夜の街に出てバーとかには行かなかったな。
まぁ1人で行くとリスクが伴うので仕方ない部分がありますが。


荷物の詰め込みも終えてしまいました。
お土産は少ししか買っていませんし、衣類は捨てながらここまで来たので著しく増えたってことはありませんが薄いパンフレットの一枚一枚全てが思い出です。

明日の時刻表を確認して寝ます。
ちなみに時刻表はこんな感じ。
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ずっと電車移動だったのですっかり読み方も慣れてしまいました。だから尚のこと名残惜しい。


次回最終話。